美狐はベッドの上で愛をささやく

銀色?



今まで、わたしを襲ってくる霊体たちの中でそんな綺麗な色は見たことが無かったから、不思議に思って、怖さよりも興味の方がわいてしまった。


いつも臆病なのに、ヘンなの。


自分自身、不思議に思いながら、目を開けていくと……目の前には……。



ルビーのような赤い瞳をした……大きな銀色の狐がいた。



「ぁ……」



思わず声を出してしまったのは、この狐を見たことがあったからだ。


父が亡くなった直後、女の子の霊体に追いかけられていた時に見た狐……。



とても綺麗な……月夜に輝く銀の毛並みを持つ……狐だ。



「お前が……助けてくれたの?」



人間の言葉をしゃべっても、動物だからわたしの言葉なんてわからない。

それなのに、勝手に口から紡ぎだされていく言葉――……。


わたしの声を聞いた狐は、ピクピクと耳を動かし、ルビーの瞳をスッと細めた。

まるで、わたしの言葉を理解して、肯定するような……。


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