美狐はベッドの上で愛をささやく
完璧な人って、きっと真赭さんみたいな子を言うんだろうな。
役立たずなわたしとは雲泥(ウンデイ)の差だ。
そのわたしは、紅さんが帰宅したあと、生成さんと真赭さんを見送って、紅さんと一緒に眠る日々を過ごしている。
先に寝ていても良いと言われたんだけど、やっぱりひとりは寂しくて……。
だから、わたしは紅さんを待つんだ。
だけど、わたし、最近ヘン。
夜に限らず、紅さんに、もっと強く抱きしめて欲しいって思うようになっているんだ。
抱きしめられるのは今でも恥ずかしいと思うのに、強く抱きしめて欲しいと思うなんて、とても不思議。
……きっと、少しの間だけれど、紅さんと離れて過ごしているからかな。
寂しいって思っているのかもしれない。
甘える人が今までお父さんしかいなかったから、その分優しくしてくれる紅さんに甘えてしまっているんだ。
だから、もっと強く抱きしめて欲しいとか、そんなことを思ってしまう……。