美狐はベッドの上で愛をささやく

それくらい、ここに来ているっていうことだもんね……。

わたしが紅さんと出会う前からずっと、ふたりはそうして過ごしていたんだものね……。

だからわたしがどうこう思うことじゃない。


そう思うのに、胸がズキズキするのは、どうしてなのかな……。


一緒にいるところを想像すると……。

わたしと同じようなことを真赭さんにしているのかと思うと……。


心が苦しい。


キスだって……真赭さんともしているのかな……。



「っ、でも、紅さんとは年齢が……」

大きく離れすぎているんじゃないかな……。


真赭さんと紅さんがキスしていることを思い浮かべた瞬間、わたしの中で何かドロドロしたものが見えたような気がした。


気がつけば、意地の悪い言葉を口走る。


だけど、真赭さんはわたしが口走ったセリフを最後までは言わせなかった。


彼女はとがった顎を上に向けて、やっぱり強気に答える。


< 178 / 396 >

この作品をシェア

pagetop