美狐はベッドの上で愛をささやく
「だからなに? 好きになったなら、年齢なんて考えていられないわよ」
……好き。
真赭さんは異性として、紅さんのことを好き……。
わたしは……。
もし、紅さんも真赭さんと同じ気持ちなら、ふたりを止める権利はない。
だけど…………。
「どうやら聞く必要もなかったみたいね、邪魔をしたわね」
どう答えて良いのかわからず、そのまま突っ立っていると、真赭さんは背を向けて部屋から出て行った。
……好き。
真赭さんは紅さんのことが好き……。
ひとり、部屋に取り残されたわたしは、真赭さんが言った言葉を反芻(ハンスウ)していた。
考えられない話じゃない。
だって、紅さんはとても綺麗だし、優しいもん。
泣き虫なわたしに短気を起こさず、抱きしめて宥(ナダ)めてくれた……。
キスだって……。
紅さんにとって、わたしへのキスは、わたしを慰(ナグサ)めるためのものにすぎない。
だけど……。
だけど、わたしは……。