美狐はベッドの上で愛をささやく

そこでわたしは真赭さんが紅さんの隣にいて、微笑み合っているのを想像した。


その瞬間だった。




ズキン。

わたしの胸がこれまでにないくらい、強く締め付けられた。




「っつ!!」


――ああ、どうしよう。



そこで気づいてしまった想い。


わたしだけが紅さんに優しくされているんじゃないと思った時も……。

紅さんにキスされて、ドキドキしているのはわたしだけだと思った時も……。


胸が痛んだのは、きっとそういうこと……。



それは、わたしが抱いてはいけないもの……。


だけど、もう自分の気持ちに気がついてしまった。


……どうしよう。



わたし、紅さんが好きなんだ……。


わたしは……なんて…………。


なんて、汚いんだろう。


紅さんは、けっしてわたしと同じ想いにはならないのに……。


わたしは、紅さんにそれを求めている。



わたし、紅さんに『愛してる』って言われたいんだ。


< 180 / 396 >

この作品をシェア

pagetop