美狐はベッドの上で愛をささやく
「美しいよ、思わず口づけてしまいたくなるくらい……」
スッとすぼまった紅さんの瞳の中に、戸惑うわたしの姿が映る。
大好きな紅さんに微笑まれたら、わたしはとても居たたまれなくなってしまうし、心臓だってバクバク煩(ウルサ)くなる。
紅さんの手の中には、三つ編みにされた髪の毛がある。
そして……。
わたしの髪はそっと紅さんの唇に運ばれてしまった。
体温のない髪の毛にされた口づけ。
それなのに、どうしたんだろう。
髪の毛から伝染して、体中が熱くなってくる。
「くれないさんっ!!」
あまりにも恥ずかしくて、あまりにも嬉しすぎて、胸が締めつけられる。
わたしは慌てて自分の見窄(ミスボ)らしい灰色をした髪の毛を、紅さんの手から奪い返した。
「紗良ちゃんはとても恥ずかしがり屋さんなんだね……」