美狐はベッドの上で愛をささやく
虫さえも、これから起こる恐ろしい出来事を感知しているみたい。
……ドサリ。
突然大きな音が聞こえたと思ったら、天井からわたしの足元に向かって重たい何かが落ちてきた。
それが人だとわかったのは、そのすぐ後。
あまりの恐怖に足はすくみ、声さえも出せない。
畳の上に視線を置けば、肩までの髪に赤いワンピースを着た、小学生くらいの女の子が畳を這(ハ)うようにしてそこにいた。
『おねいちゃんのたましい、ちょうだい』
女の子は、漆黒の髪から片目だけを覗かせ、体に纏(マト)わりついてくる。
……ポタリ。
足に当たった水滴。
だけど、それは水滴なんかじゃない。
足下を見ると、色がついていた。
それは、人の……赤い血液……。
「……っつ!!」
いや。
もう、いやだ。
誰か……誰か……助けて。