美狐はベッドの上で愛をささやく
だから道は、整備されていない砂利道が続く。
しかも、ここは山奥で、人気もない。
ただ、無数の枝が交差しているのがみえるばかりだ……。
『まって、おねいちゃん……』
そう言って、女の子は地面を這ってわたしを追ってくる。
……ドクン、ドクン。
わたしは恐怖で高鳴る心臓の部分に触れた。
すると、
ぴちゃり。
胸のあたりで水音がした。
見下ろせば、わたしの手は女の子の血で赤く染まっていた……。
父を見送った黒のワンピースが、女の子の血に染まる。
――お父さん。
どうしてわたしをひとり残して逝ってしまったの?
わたしは……もう、ひとりはいや。
いやだよ……。
『まってよ、おねいちゃん』
わたしを追いかけてくる女の子との距離は、数メートルだったところが数十センチに縮まっている。
『誰か、助けて!!』