美狐はベッドの上で愛をささやく
叫び、助けを求めたいのに、わたしの喉は恐怖で掠(カス)れて声も出せない。
それに、わたしは人がいない山奥へと向かって走っている。
声を出したとしても、誰もわたしには気づかない。
急に走ったせいで、乱れる呼吸は心臓に負担をかけ、走る足の速度が落ちる。
そして……。
『おいついた』
わたしの両足が……真っ赤に染まっている女の子の手に捕まった。
同時に、体は激痛を感じた。
やせっぽっちなわたしの体は、女の子によって地面に倒されてしまったんだ。
女の子はわたしの足元から、ゆっくりと這い上がり、目の前には血だらけの顔が見えた。
たす……けて……。
こわい。
だれか。
「助けて!!」
わたしは喉をしぼって、ありったけの声をお腹から出す。
すると、なんだろう。
ふわりと、絹のような柔らかい何かがわたしと女の子の間に流れたんだ。