美狐はベッドの上で愛をささやく
倉橋さんの、まとっていた穏やかな雰囲気が、がらりと変わり、荒々しい空気を感じた……。
そこには、わたしが好きだった黒髪の中に白髪が交じった髪はなく、代わりに漆黒のフードを被り、大きな鎌を手にしている。
死神のような姿をした、倉橋さんがいたんだ。
今の倉橋さんが傍にいるだけで、胸が押しつぶされるような恐怖が、わたしの中で生まれる。
彼はわたしの中に恐怖が芽生えたのを察知したかのように、手にしている大鎌の切っ先をわたしに向け、口をひん曲げて笑った。
「貴様、悪魔に魂を売ったか」
――悪魔?
霊媒師の倉橋さんが?
悪魔と手を組んだの?
紅さんの言葉に、わたしは耳を疑った。
「ああ、そうさ。俺は悪魔を呼び出し、契約を交わした。自分の魂を生け贄(ニエ)として捧げるかわりに、より強力な力を持つために!!」
彼が大きな口を開け、そう言うと、彼の口内には鋭い犬歯(ケンシ)が見えた。