美狐はベッドの上で愛をささやく
ふわり。
紅さんのあたたかい体温が、わたしの体を包み込む。
「くれないさん……」
力強い腕が、わたしの背中にまわる。
心まであたたかくって、満たされた気持ちになる。
まるで、お日様の下で日向ぼっこしているみたいに……。
まるで、恐れるものは何もないっていうみたいに……。
わたしのすべてを包み込んでくれる、安心できる場所のように……。
もう一度、瞬きをすると、また涙が一粒こぼれた。
嬉しくって、わたしも紅さんの背中に腕を伸ばす。
「紗良……君が無事でよかった。倉橋(クラハシ)さんとの一件からずっと、眠ったまま目を覚まさなかったから、心配したんだ」
「紅さん……」
紅さんの背中に巻きつけた手を少し緩めて周りを見る。
そこは見知った場所で、クリーム色の壁があるばかりだ。
ここは紅さんの部屋。