美狐はベッドの上で愛をささやく
◆エピローグ◆
「ねぇ、紅(クレナイ)さん。本当にわたしでいいの?」
「うん?」
「わたしが……。紅さんのお嫁さんでいいの?」
紅さんにわたしが必要だとあれからたくさん教えられた今は、お昼少し過ぎた頃。
ここはやっぱりベッドの上。
隣にいる彼に震える唇で、もう一度確認をとってみる。
だって、だって……。
やっぱりわたしみたいな存在が、紅さんのような高貴な人と一緒にいちゃいけないと思うんだもん。
それでもし、紅さんの気が変わったら?
わたしのことを煩(ワズラ)わしいと思ったら?
苦しくて悲しくて、絶望感に覆われる。
「そうして欲しい。君はかけがえのない存在だ。
わたしの花嫁になってくれるね?」
「……はい」
何回訊(キ)いても不安な気持ちは消えない。
だけど……紅さんが許してくれるかぎり、ずっと傍にいたい。
わたしは微笑むと、紅さんはうなずいた。