美狐はベッドの上で愛をささやく
それだけで胸がいっぱいになって、もう何も言えなくなってしまう。
「くれないさん……」
目から涙が溢(アフ)れ出す。
「紗良は泣き虫さんだね」
だって、だって……。
今までわたしは誰にも受け入れてもらえなかったんだ。
忌(イ)み嫌われた存在の、このわたしに、『離さない』とか、『愛してる』なんて言われたら、泣かない方がおかしい。
胸が苦しくて、だけど胸の中が熱くて、体中がとろけて無くなってしまいそうなくらい満たされた気持ちになった。
広い背中にまわした腕に少し力を入れてみる。
そうすると、紅さんもわたしの華奢(キャシャ)な体を力いっぱい抱きしめ返してくれる。
これからも、こうしてベッドの上で幾千もの愛をささやかれ続けるんだろう。
紅さんの変わらない愛を……。
だったら、わたしも紅さんに負けないよう、愛を告げよう。
ずっと……永遠に。
「わたしも……紅さんを永遠に愛します……」