美狐はベッドの上で愛をささやく
わたしは慌てて袖をめくり、奏美さんを襲った時に出来たような痣(アザ)がないかを確かめる。
でも、それは見当たらなかった。
だったら、違う方法で手にかけたっていうこと?
どういう方法で?
「……っつ!!」
居ても立ってもいられなくなったわたしはベッドから抜け出し、たぶん、廊下に繋がっているだろうこの部屋にあるドアを開けた。
目の前には階段が広がっている。
その階段の下から、水の流れる音が聞こえてくる。
わたしは急いで階段を駆け下りた。
あと4段で階段が終わる。
その場所で、わたしの右足は左足の邪魔をした。
体が傾く。
落ちる!!
わたしは、ぎゅっと目を閉じた。
……んだけど…………。
………………あれ?
痛くない?
たった数段だけど、階段はまだ4段ある。
それを踏み外したんだから、わたしの体はお団子みたいになって、一気に転げ落ちる。