美狐はベッドの上で愛をささやく
というか、今は感心している場合じゃない。
「わわっ、大丈夫です!! どこも痛くなんてないです。
怪我してませんから、だから下ろしてください!!」
わたしは両足をバタバタさせて男の人に下ろして欲しいと抗議する。
だけど、男の人は眉間に皺を寄せてジーッと見つめてくるわけで……。
だからまた、男の人の目にはわたしの汚い姿が映ってしまう。
そして、わたしはまた顔を俯けた。
この人は、会って間もないわたしを心配してくれる、とても優しい人。
だから、汚いわたしの傍にいちゃいけない。
「あの、本当に何もないです」
わたしがそう言っているのに、なかなか信じてくれない男の人は、さっきわたしが駆け下りた階段をゆっくり上っていく。
……言わなきゃ、いけないのかな。
わたしは他の人たちとは違って、特異体質だってこと。