美狐はベッドの上で愛をささやく

「わたしは人殺しだから……」



特異体質の、わたしの体が軽くなったのは、父のおかげだった。

父がわたしの身代わりになって、帰らぬ人となってしまった。



わたしが、お父さんを殺したんだ……。





そう思うと、涙は次から次へと頬を通って流れていく……。


「……っく、っひっく…………」

あれほど我慢していた嗚咽は口から漏れた。



その時だ。


不意に、わたしの体が包まれた。


「!!」

「君は……」


耳の傍で声がした。


びっくりして前を見ると、茶色い布がわたしを覆っている。


わたしは男の人に抱きしめられていたんだ……。



「君が今までどんな感情で生きてきたのかは理解することは難しいだろう。

だけど、少なくとも、わたしの目に映る君はとても美しいと思うよ」



……うそだ。


「違うっ! 見た目でもわかるでしょう?

わたしの髪は、ほら。焼けた後の灰みたいな色じゃない!!」


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