美狐はベッドの上で愛をささやく
「なめらかな長い髪は、まるで絹のようだね。
思わず口づけたくなるほど美しい」
「へ? あっ、あのっ!!」
「漆黒の瞳は、黒水晶のように水気を含む光を放っている。
君の瞳に入れば、どんな物でもすべてが宝石のように輝く」
戸惑いを隠せないわたしをよそに、そう言う男の人の言葉はまったく想像していなかったもので……。
わたしは目の前の男の人を見つめた。
すると、男の人はにっこり微笑む。
トクン。
優しい微笑みを向けられて、わたしの心臓がまた跳ねた。
背中にある赤い夕陽が男の人を背後から包むようにして存在している。
まるで、男の人を称賛しているかのように……。
「それに、君の肌は純白の真珠のようだ。とても美しい……」
わたしの背中にあった手が離れて、移動する先は、わたしの頬……。
手の甲で、撫でられた。
その仕草に、今度は背中に電流が走った。