美狐はベッドの上で愛をささやく

「……っつ、ぅううっ!!」


その言葉を聞いた時、わたしの目頭が熱くなり、目からは涙が溢れた。




父は……『わたしを許さない』とそう言った。




わたしは父に恨まれているんだ……。





生まれてきてしまって、ごめんなさい。


迷惑ばかりかけて、ごめんなさい。





わたしは……生きる価値もないヤツなんだ……。




「そうだ、お前は生きていてはいけない存在だ。

私と同じように苦しめ。

殺してやる……」



……ごめんなさい。

……ごめんなさい。



わたしは生きていちゃいけない。


ごめんなさい。




……ぽとり。

目尻から流れるのは、懺悔(ザンゲ)の涙。



父をそこまで追い詰めていたという涙だ。





「――……ら――」

「――……良――」



わたしの中には絶望と悲しみ。

自分を責める言葉が行き交う中、誰だろう。


また別の、父とは違う、誰かの声が聞こえた。


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