俺様王子と2℃の恋
- another -

 ほっとしたのか木下は深い息を吐いた。どうやら今ので相当緊張したようだ。

「こいつにだけは言ってんだよ。悪かったな、黙ってて」

「いえ……大丈夫です。お互い様なんで」

「(お互い様?)」

 ということは、木下も少なからず一人には話しているということだ。まさか、さっき見た主席か? ま、あの人ならマジメそうだし口外するような感じじゃないが……。

 少しばかり不安な目で木下を見る。あの主席の事情を知らない木下は不思議そうに見つめ返してくるだけだ。

 主席のことを聞いたら、木下はどうするんだろうか――
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