俺様王子と2℃の恋

2

 押し倒されている――

 そう理解できたのは、三里さんの顔が目の前に来て十秒ほど経った時だった。

「あ、の……なんですか?」

「ん? だから練習! あ、もしかして――

 こうやって練習しなくても、もう知ってた?」

「は……な、何言って!」

 完璧に三里さんのペースにのまれている私。

 取りあえず近すぎる距離をどうにかしようと、腕で三里さんの肩を押したり足をばたつかせたりした。
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