俺様王子と2℃の恋
another1
- another -
朝の通学バスは、いつものように混んでいた。
俺(王宮樹)は始発から乗っていつも座ってられるからラッキーだ。
けど、その日は異変があった。
「っ!」
近くに立っていた女子が、一瞬にして顔を蒼くする。調子悪いのか?と思ったけど、目を下げて理解した。あぁこいつ、
痴漢にあってんだ。
「(叫ばないのか)」
女子が何かするかと思って黙ってたけど、そいつは何をするでもなく耐えていた。今にも泣きそうな癖に、なんで何も言わないんだ。
見てしまった手前、何もしないわけにはいかない。声出すのはダルいから、手でも引っ張るか。
「へ、あ……れ?」
今何が起きたか分かっていない女子は置いといて。
見えた、あいつか痴漢野郎か。
「……(ギロッ)」
「チッ」
睨むと奥に姿を隠した。
二十代~三十代のサラリーマン……何が面白くて、こんな魅力のない女で遊ぶか分からない。
「おい」
「――へ?」
「大丈夫か?」
――だけど、まさかこいつが俺のことを知らなくて、仮彼女までやってくれるなんて思わなかった。俺に興味もなさそうだし、せいぜい恩を返してもらうとするか。
「あ……一応」
ピピピピ
『俺のこと、絶対好きにならないこと』
これでよし。
朝の通学バスは、いつものように混んでいた。
俺(王宮樹)は始発から乗っていつも座ってられるからラッキーだ。
けど、その日は異変があった。
「っ!」
近くに立っていた女子が、一瞬にして顔を蒼くする。調子悪いのか?と思ったけど、目を下げて理解した。あぁこいつ、
痴漢にあってんだ。
「(叫ばないのか)」
女子が何かするかと思って黙ってたけど、そいつは何をするでもなく耐えていた。今にも泣きそうな癖に、なんで何も言わないんだ。
見てしまった手前、何もしないわけにはいかない。声出すのはダルいから、手でも引っ張るか。
「へ、あ……れ?」
今何が起きたか分かっていない女子は置いといて。
見えた、あいつか痴漢野郎か。
「……(ギロッ)」
「チッ」
睨むと奥に姿を隠した。
二十代~三十代のサラリーマン……何が面白くて、こんな魅力のない女で遊ぶか分からない。
「おい」
「――へ?」
「大丈夫か?」
――だけど、まさかこいつが俺のことを知らなくて、仮彼女までやってくれるなんて思わなかった。俺に興味もなさそうだし、せいぜい恩を返してもらうとするか。
「あ……一応」
ピピピピ
『俺のこと、絶対好きにならないこと』
これでよし。