俺様王子と2℃の恋
「(まぁ、“誰か”なんて決まってるけど)」

 背中に全体重を預け、顔を後ろにやる。すると昨日とは違い、どこか怒ったような王宮さんの顔が、すぐ近くにあった。

「……なに、してるんですか?」

「こっちのセリフだ」

 何が何だか分からなくて小声で声をかけると、目の前にいる滝本さんには愛をささやいているようにしか見えなかったらしい。

「止めてよ」

 淀んだ声が響いた。
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