俺様王子と2℃の恋
 そう言った彼の耳は全部が赤く、
 それを聞いた私の顔はリンゴのように真っ赤に染めあがる。

「……ふふ! なんだか、恋人同士みたいですね!」

「みたいじゃなくてそーだろーが!」

「そーでした! なら、早く着いた方が二人分のメニューを決めるでどうですか? 私走りなら負けませんよ! なんせ昨日すごい走ったんで!」

「は!?」

「じゃ!」

 ピュンと、兎がオオカミから逃げるように立ち去る私。店の場所も聞いてないのに止まらない足はどうにもできず、ただただ前へ前へと進み続ける。
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