俺様王子と2℃の恋
「わ、悪いですよ」

「いいって。遅いのも困るし」

「(むっ)置いて行ってくれて、構いません」

 ツイっとソッポを向いて先に走る。カバンは……素直に甘えよう。

「早く来ないと置いて行きますからー」

 とか余裕そうに言いながら、実際は抜かされないように必死に足を動かしているのが何とも滑稽だ。でもさすがに、雨の中置いていかれるのは辛いもの。

 すると、後ろから聞こえる彼の声。

「お前って、案外強情だよな」

 その言葉に再びムッとしてしまったのは言うまでもなく……
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