俺様王子と2℃の恋
「メールしたよ? 待ってるって」

「しらな――」

「それより、その人は……誰?」

 そう言って、私の横にいる王宮さんを見るその人……いや、正確に言えば、繋いでいる手を見ている。そうだ、やばい……まだ離してなかったや……。

 パッ

「ただの同級生」

「ふーん……本当に?」

 手から視線を外し、今度は舐めるように私を見るその人。王宮さん程ではないけど背が高いその雰囲気に押されて、空気がひどく重くなる。

 王宮さんから離した手を胸元へ持っていき、自分を鼓舞するように力を込める。
< 59 / 319 >

この作品をシェア

pagetop