俺様王子と2℃の恋

another2

- another-

 今日もいつもと変わらず追いかけ回される日々。

 昨日も、一昨日もそうだった。これが何年も繰り返されるから、今さら疲れることはない。けど、隣にいる女は違うらしい。

「……はぁ」

「(明らかに疲れてる)」

 校門をくぐり学校を出たあたりからそれは顕著に顔に出ていたけど……いや、でも今ほどじゃないか。変な男に会った、さっきよりは。

「……」

「……」

 バスに乗り込んで数分経つ。が、木下は何も言わない。席は空いているのに座りもせず、ずっと下を向いている。さっきの男のことを話す気は、どうやらないらしい。
< 64 / 319 >

この作品をシェア

pagetop