俺様王子と2℃の恋
- another -

「(“落ち着かせようとしている”?
 何に?)」

 思案を巡らせていると、主席はパッと顔を上げて男に近寄った。そしてゆっくりと、男の手を両手で包み込んでいく。

「私、彩花ちゃんが好き。でも……

 永人くんのことも好き」

「(へ!?)」

「二人には、幸せになってほしいの。それが例えバラバラな道でも、それぞれ幸せになってほしい。幸せのあり方は、きっと一つじゃないよ」

「(あぁ……びっくりした)」

 一瞬、男の方に肩入れするのかと思った……。
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