俺様王子と2℃の恋
- another -

「あぁ……そういうことか……」

 友達――

 何度もそう言った主席は来た道を戻っていく。

 その途中にある自動販売機の前で立ち止まり、何かを買うらしい。お金を投入して、ブラックコーヒーに手を伸ばしている。

 が……

 ピッ

 結局、ミルクココアを買う。

 それはブラックとは比べ物にならない程、砂糖がたくさん入った飲み物だった。

「……朝よりも、甘い」

 そう嬉しそうに言う主席の顔が目に映る。

 その姿は新入生代表の時に見せた凛々しい顔ではなく、頬を紅潮させてはにかむ普通の高校一年生だった。
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