可愛いなんてバカらしい
「ふぅ~。やっぱ屋上は気持ちいいなぁ!」


太陽が近くて少々暑いが、風の気持ちよさを引き立ててくれる。


グラウンドでは男どもの暑苦しい朝練が披露されている。


俺も部活入りたかったけど、そういうのめんどくせぇしなぁ。


ていうか、朝練長くね?


もう普通に授業始まるぜ?


ま、いっか。


俺には関係ねぇし。


「お、生徒会長じゃん!」


海斗がグラウンドを指差した。


すかさず下を見る。


さっきの男どもの朝練に何か言ってるっぽいな...。


「朝練はもう終わってますよね?」


あ、やっぱり、とっくに朝練は終わってたみたいだな。


「生徒の邪魔になるから終わりしましょう?」


なぜか、生徒会長の声が完璧に耳に入ってくる。


「なんか、もめてんなぁ。真琴ー、あいつら野球でも柄悪いって有名だぞ?生徒会長、大丈夫かねぇ。」


海斗が話し終わった瞬間、一人の男が生徒会長を突き飛ばした。


「うわ!あいつ、女に手ぇあげやがった!サイテー。
って真琴?!何やってんだよ!」


俺は屋上の縁に立っていた。


勝手に体が動いたんだ。


そして、グラウンドに向かって叫んでやった。


「女に手ぇあげてんじゃねぇよ!!このカスがぁああ!!」


グラウンドが静まりかえったのが伝わる。


男どもは上を向いて、口を開いたまんまだった。


そして、沈黙を守っていたかと思うと生徒会長を突き飛ばした野郎が屋上にいる俺に向かって叫びだした。


「あんだとゴラアアァァアア!!!お前どこのどいつだぁああああ!!!」


昭和の返しに嘲笑う。


「沢谷真琴だぁぁあああ!ゴラアアァァアア!!!」


俺も昭和に乗ってやった。


すると、海斗が


「名前名乗っちゃダメだろうが!!!!」


と青ざめた顔で俺の口を塞ぎ、そのまま屋上を出て階段をかけ降りていった。
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