可愛いなんてバカらしい
「そういえば、生徒会長さん、なんでここにいるの?授業もう始まってるよ?」


「あ...私、真琴ちゃんを探してて、ここにいるって聞いたから来てみたら、沢谷くんに引っ張られて....結局、真琴ちゃんいなくて.....」


「真琴ちゃん?...あぁ!なるほど!」


海斗はニヤニヤ薄ら笑いを浮かべ、真琴の方を見た。


まだ勘違いされてんだなぁ、俺。


「俺が沢谷真琴だよ。」


生徒会長は不思議そうに俺を見つめた。


そして、納得したような表情に変わった。


はぁ.....やっと分かってくれた...。


「同じ名前なんですね!私が探してるのは女の子の沢谷真琴ちゃんなんですよ!」


「ブフ........!!!」


海斗が横で吹いた。


「女の子の沢谷真琴ちゃんねぇ~。フフフ.....!真琴~、こりゃ傑作だなぁ!」


バカにしやがって.....。


「だーかーらー、俺が沢谷真琴!」


「はい!それは分かりましたよ?」


天然かぁぁああ!くっそぉぉおお!


「で、生徒会長さんは......フフ.......どうして沢谷真琴ちゃんを....フフ....探してたの?.....フフ....!」


海斗が笑いを必死に堪えながら尋ねた。


「今日、ちょっとしたケンカになっちゃって真琴ちゃんが助けてくれたんです。だから、お礼がしたくて....。」


だから俺のこと探してたのか。


礼なんていらねぇのになぁ。


本当、いちいち可愛いなぁ。


......よし。生徒会長が困ってるんだし人肌脱ぎますかー!


「神田さん!ちょっと待ってて!俺、沢谷真琴呼んでくるよ。」


「え?でも、今授業中じゃ....?」


「大丈夫大丈夫!ちょっと待っててね!あ、海斗。手ぇ出すなよ。殺すぞ。」


「へいへーい」


海斗は大きなあくびをしながら手を振った。


屋上の階段をかけ降りて、男子用トイレに入る。


「予備に持ってきて良かったぜぇ。」


かばんの中からメイク道具を取り出す。


「よし!いっちょやりますかー!」
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