可愛いなんてバカらしい

屋上Ⅱ

「幸ちゃん....?」


「あ!真琴ちゃん!」


屋上に走って来たから汗臭いかも...。


「遅くなっちゃってごめんね!」


「そんなことないよぉ!」


生徒会長の顔が明るくなるのが分かる。


そんなに"私"に会いたかったのか。


なんだか切ない気分にかられる。


まぁ、今は生徒会長の話を聞くのが先決だな。


「私に話があるって沢谷真琴から聞いたんだけど....」



生徒会長は思い出したように話しだした。


「あ、そうそう!今日のお礼がしたくて...。体操服着てるけど体育の授業だったかな....?」


「え?あ~、うーん、まぁ、そんなところ!」


「わざわざサボらせちゃってごめんね!」


生徒会長は申し訳なさそうに謝った。


サァーっと風が吹いている。


相変わらず、いい匂い...。


空を背景に生徒会長は優しく笑いかける。


本当に可愛いなぁ。


"俺"って認識してくれる日はいつ来るのかな....?


「真琴....ちゃん?」


「へ?あ、何?どうしたの?」


「ううん!なんでもない!」


生徒会長は俺の手をぎゅっと握って極上のスマイルで笑った。


「あっち座ろ!」


俺の手を引っ張って屋上の真ん中に引き寄せる。


やべぇ。にやける.....。


「いい景色だね!」


「うん...そうだね」


生徒会長はニコッと笑いかける。


あぁ、可愛いなぁ。


我慢ってこんなに辛かったっけな....。
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