可愛いなんてバカらしい
「書記は基本、会議で決まった事などをこのノートに書き写すの。」


生徒会長は一つ一つ丁寧に教えてくれた。



「これで全部説明したかなぁー?分かったかな?」


「うん!大丈夫!」


生徒会長はニコッと笑って


「じゃあ、初めての仕事頼んじゃっていいかな?」


と言った。


仕事?なんだろう......。


なぜだろう。嫌な予感しかしない。


「熊田くんと一緒に学校の見回りに行ってほしいんだけど....いいかな?」


あれ?聞き間違いかな?


仕事は分かったけど、誰と見回りに行くって言ってる?


「うん!任せといてよ!で、誰と見回りに行くんだっけ?」


「熊田くんと!」


聞き間違い...じゃないか....?


熊田と?俺が?


「ダメ.....かな?」


あぁぁぁ...生徒会長が悲しんでる...。


うぅ、俺も男だ!この勝負受けてやる!


「任せといてよ!」


嫌な仕事引き受けちまったな....。


「今日の放課後に東館に行ってほしいの。不良のたまり場になってるみたいで他の生徒が怖がって入れないんだって!だから、出来れば不良達に注意してくれないかな?」


「おう!俺と熊田で頑張ってみるよ。」


生徒会長のお願いだ。頑張ってみよう!


「俺なんて言っちゃって可愛いね!」


生徒会長が上品に微笑む。


「あれ?今、私、俺って言った?やだぁ~、聞き間違いよー!あ、あはは~」


なんで俺、隠してんだろ。


バレてほしいって内心では思ってんのに....。


俺も素直じゃねぇなぁ。


「おい、沢谷。今日の放課後東館の入口集合だ。遅れるなよ。」


「てめぇに言われる筋合いねぇよ。」


!?


やべぇ!腹立って、つい、口調が元に戻っちっまった!


「な、なーんて!じょ、冗談よぉ~」


熊田の顔をうかがう。


「フ...。下品な女だな。」


鼻で笑いやがった....!


「絶対遅れるなよ。俺は遅刻が一番嫌いなんだよ。」


「はいはい」


気乗りはしないが、生徒会長のお願いだ。


放課後が憂鬱だぜ....。
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