可愛いなんてバカらしい

東館

放課後になり、真琴は東館の前で熊田を待っていった。


熊田に文句を言われるのは真琴のプライドが許さなくて少し早めに来た。




...........にしても、熊田が遅い。


16時を過ぎて少し経つ。


終礼が終わるのはだいたい15時20分。


遅くても、15時40分には来れるはずだ。


時間にうるさいんじゃなかったのか?


これから時間にうるさく言ってきたら、これを盾にしよう。


「遅くなってすまない。」


急な声に背中が凍った。


「く、熊田!遅いんじゃないの?」


堂々とした態度で熊田を嘲笑う。


「少し忙しくてな。」


「さんざん待たしておいて理由もなし?」


熊田にさんざん言ってちょっとでも下剋上を味わいたかった。


「それもそうだな..。」


熊田も申し訳なかったのか理由を冷静に静かに述べた。


「まず、終礼を終え、担任に頼まれていたプリントを届けに行き、その途中で女子生徒が落とし物をしたと言ってきたので落とし物を探しあて、再び、プリントをもち職員室にプリントを届け、東館に向かっていると運動場で遊んでいた男子生徒が怪我をしたと話を聞き、その男子生徒を担ぎ保健室に運び、手当てをした。と言う理由で遅れた。」


.....嘲笑ってごめんなさい。


「ま、まぁ、許してあげてもいいけど...」


「そうか、では早く仕事を終わらせよう。行くぞ。」


熊田は先頭を歩いて東館の一階をまわりだした。


切り替えが早いのはいいと思う。


「不良なんていなくない?生徒会長の聞き間違いじゃ....?」


「いや、幸に限ってそんなことはない。」


熊田の発言に違和感をもつ。


「....下の名前で呼んでるの?」


「え?あ、あぁ。幸は幼なじみだからな。」


幼なじみ...。生徒会長と幼なじみなんて羨ましい...!


「そー...なんだぁー」


そりゃ、仲がいいのも頷ける。


でも、何か違和感を感じる。


熊田は生徒会長のこと...好きなんじゃねぇかな?


「熊田って幸ちゃんのこと好きなの?」


直球に聞いたほうがいい。


すると、熊田は急に焦りだした。


顔を赤らめ、何もないところでつまずく。


こりゃ、えらく分かりやすい奴だな。


「好きなんだぁ~!幸ちゃん可愛いもんねぇ~♪」


「そ、そ、そ、そんなことはない!そんな感情持ったこともない!」


意地っ張りになるとこが怪しんだよね。


「内緒にしといてあげるから♪」


フフフ.....こいつの弱味を握ったぞ!


「お前は幸とはどういう関係なんだ?」


「ただの友達だよー。」


好きとかいったら、変な目で見られるだろうな。


今、女だし。


「そうか。はぁ、雑談をしすぎた。早く屋上に行くぞ。幸の話いわく屋上に不良供がたまっているらしい。」


熊田は足を早めた。


俺も後ろを静かに付いていった。
< 26 / 72 >

この作品をシェア

pagetop