可愛いなんてバカらしい
ラベンダーのいい匂いが俺の体を包み込む。


「生徒会長......いい匂い.....。」


「......落ち着いたら離れますので今はこのままで....。」


生徒会長はぎゅっと俺を包み込んで、母さんの暖かさを感じさせてくれる。


母さんってこんな感じなのかな....。


生徒会長暖かい...。


落ち着く....。


「生徒会長.....俺さ、両親がいないんだ。」


こんなこと言っても涙が溢れてくるだけ。


でも、言いたいんだ。


「俺が8歳の誕生日のときに事故にあっちまってさ....。俺だけ生きて、俺だけ身体に血が流れて.....。寂しいんだよ....。」


本音を言った。


そうだ、俺寂しかったんだ。ずっと。


小学校の授業参観に親がこない。


みんなは来てるのにどうして俺だけ.......。


涙が溢れて溢れて、言葉も発せない。


「......辛かったんですよね...?
でも、大丈夫ですよ。
ご両親は亡くなられても側にいるんですよ?
寂しいなんて言っちゃ、側にいるご両親が悲しみますよ....。」


生徒会長はよりいっそう俺のことを強く抱きしめてくれた。


「...そうだよな......ありがとう、生徒会長。」
< 50 / 72 >

この作品をシェア

pagetop