可愛いなんてバカらしい
海斗の恋愛相談

ショートカット

ー1週間前ー


俺は渡辺海斗!


成績優秀でまぁまぁ顔もイケてると思う。


だけど、仲の良い男がこりゃまたモテるんだよなぁ。


俺はそいつの引き立て役って感じになってる。


まぁ、別にいいんだけどよ。


俺は脇役で♪


脇役は脇役で楽しいんだよねっ♪


でも、その男が生徒会に入って帰り道が一人になっちまった。


寂しいけど、まぁ仕事だし仕方ねぇよな。


校門を通って、まっすぐ家に帰る。


はずだったんだけど、今まで二人だったせいで見えない世界があった。


「ん?あんなとこに道あったっけ?」


好奇心旺盛な俺はその新しい道を通りたくてたまらなかった。


細い道で先がずーっと続いている。


なんだか、この先には良いものがありそうで俺は足を進めた。


道はどんどん広くなっていき、ついに出口!


「.....っていつもの道に出ちまった。」


出口はいつもの帰り道の途中。


なんの感動も得られず、ただ遠回りをしただけだった。


「ちぇ。まっすぐ帰ろーっと。」


駅に向かおうとしてまた足を進めた。


すると、後ろから誰かが俺を呼び止めた。


「ちょっと、あんた。今通ってきた道、立ち入り禁止よ。」


「え?」


後ろを振り返るとショートカットの女がさっき通った道を指差していた。


「立ち入り禁止って書いてあったでしょ?あなた、字も読めないの?」


「え、ちょ、待って待って!書いてなかったんだけどぉ.....?」


立ち入り禁止の道に誰が行くんだよ。


つか、なんだこの女。


いきなり、話しかけといて上からもの言いやがって。


ちょーっと、感じ悪いなぁ。


「書いてたわよ。」


「書いてねぇって。」


「書いてた。」


「書いてねぇ。」


女はため息をついて、指をクイっと曲げた。


「じゃあ、確かめに行きましょうよ。」


断れば済む話だったのだが、この女の腕に「生徒会」の印があった。


「ん~、いいよー。書いてなかったらジュースおごってね。」


「そっちこそ。」
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