可愛いなんてバカらしい

二人は２メートルぐらいの間隔を開け、早足でさっきの道に向かった。


「ほーら、書いてねぇじゃん。」


道にはどこにも"立ち入り禁止"とは書かれておらず、札があった形跡しか残っていなかった。


「えぇ！?確かに書いてあったのになぁ.......これは大きな問題ね.......えーっと、立ち入り禁止の札の取り付けっと....」


女は胸ポケットから何やら手帳(らしき物)をとりだし、
「立ち入り禁止の札の取り付け」
と書き出した。


手帳には綺麗な字で名前が書いてあった。


"庶務　平田絵美"


「いい情報をありがとう。もう帰ってもいいわよ。疑ってごめんなさいね。それじゃ。」


「え、ちょ、待って！.......絵美ちゃーん♪ジュースおごって♪」


平田絵美は驚いた顔を見せて、すごい不快そうな顔をした。


「どうして、私の名前知ってるのよ.......。」


「手帳(らしき物)♪」


はっとしたように平田絵美は手帳(らしき物)を直した。


「一本だけだからね。」