可愛いなんてバカらしい
気づいた感情

幸ちゃんの案

最近、万里の様子がいつもと違う気がする。


何故だかは知らないけど避けられているように感じる。


前までは無駄に絡んで来たが、それもすっかり無くなった。


うざかったけど、無くなったら案外寂しいと感じるみたいだ。


俺、なんかしたかなー?


思い当たることは一つもない。


「おい、万里。」


「んー?」


「最近、俺のこと避けてねぇ?」


「別に。」


本人はこう言っている。


でも、どこかいつもと違う。


どこが違うんだろうか....?


うーん......あ。


そうか。分かった。


目が合わねぇんだ。


「おい、万里。」


「なんだよ。」


「なんで目ぇ合わせねぇんだ?」


「.......別に。」


万里はそそくさと逃げていった。


「あーなんなんだよ、あいつ!」


あんなに分かりやすく避けるやついねぇよ。


あー、めんどくせぇなぁ。


理由が分からなかったら何もできねぇじゃねぇか。


「真琴くん♪」


「幸ちゃん!どうしたの?」


最近の俺たちは順調そのものだ。


お互いを下の名前で呼ぶようになった。


「いや、何か悩んでるみたいだったから....何かあった?」


あぁぁ、なんで幸ちゃんは分かっちゃうんだろう。


まぁ、話して損はないか。


参考程度に話してみようかな。


「なるほど.....須依くんの様子がおかしいと......。」


「そうなんだよ....何か調子狂っちゃうんだよなぁ。」


「須依くんとは何年くらい一緒にいるんですか?」


「ん~、高1からだから...2年半くらいかな。」


幸ちゃんは少し悩んでいるようだ。


まぁ、分かるわけないよな。


俺でも分かんなかったんだもん。


「私、その避ける理由分かります。」


「だよね......。
え?嘘。え?分かったの?!」


嘘だろ?!


俺のほうが付き合い長いのに、なんで幸ちゃんに分かるの?!


「え、なになに?どうして?」


「ん~、これは私の口からは言えないですねぇ.....。直接、聞いてみたらどうですか?」


「直接聞いてるんだけどなぁ....」


「じゃあ、「生徒会長は知ってるよ」って言ってみて下さい♪
何か喋ってくれるかもしれないですよ♪」


"生徒会長は知ってるよ"


どういう意味だろう。


とりあえず、幸ちゃんの言われるがまま、実行に移すしかない。


「ありがとう、幸ちゃん!」


さっそく、万里のところに向かった。


すぐに走ったから幸ちゃんの声は微かだった。


でも、俺にはちゃんと聞こえた。


幸ちゃんはこう言った。


「......私は信じてますからね....」
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