AM1:30
4限目は体育。


柊ともおさらばできるし、1番好きな授業だと言っていい。



今日の授業はバスケだった。



男女別れてそれぞれチームを組まされる。

それなりに運動神経はあると思う。

汗だくでシュートを狙った。


「ナイスだよー!よみパス!」

バスケ部のさやかはやっぱり上手い。

いつもどこかふわふわしているのに、ボールを手にした姿は別人に見えた。









「やっぱりさやは上手いね。すごいカッコよかったよ。」

「一応バスケ部だからさぁ?でもよみは部活してないのによく動けるよねぇ。足も早いしさぁ。バスケ一緒に入りたかったなぁ。」


更衣室でブラジャー姿のまま、扇風機の前を陣取っている。

男のいないこの空間は女子を大胆に…いや、下品にさせる。

すぐそばで股を開いてスカートをパタパタさせているあの子は、確かお嬢様キャラで通っているはずなんだけど。




まぁ、とりあえずこんな姿は男子も見ない方がいい。





突然、ドンドンと扉を叩く音がした。


「藤沢いるかー?」

扉を開けないまま聞こえた声に振り返る。体育教師の山口だ。


「いないー。」

適当に答えると、いるじゃんとツッコミが返ってきた。


「お前昼休み体育教官室に来いよ。いいな!」


「えー…なんでですか?」


聞いたのに返事はなくて、磨りガラスの向こうには既に山口の姿はなかった。



「言い逃げじゃん…」

「よみなんで呼ばれたの?なんかしたの?」

「知らないよ。」

「よみちゃんセクハラされたら言うんだよ!」

「なにかとよみちゃんに絡んでるもんね、山口先生。」

「大丈夫だよ!私たちがついてるから!」


勝手に騒ぎ出した女子たちに苦笑して立ち上がる。


どうせ書類を運べだとか、運動場に白線引くから手伝えだとか、そんな使いっ走りに違いない。




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