AM1:30
「失礼しまーす。」


教官室は体育館の裏にある。

ほぼ山口専用の部屋と言っていい。



壁には何かのフィギュアがズラっと並んで、間にいろんな生徒との写真が貼られている。



私を呼び出したくせに、当の本人は座り心地の良さそうな椅子にどかっと座って牛丼を食べていた。



「牛丼くさっ。窓開けますよ。」


籠もった臭いを放出して、私も近くの椅子に座った。



「ちょっと待ってくれ。すぐ食い終わる。」

言葉通り牛丼をかきこんで、空の容器をゴミ箱にポイッと投げた。


「うっし、ごっそさん!」

「お粗末様でした。」

「お前が言うのはおかしいだろ」


笑ってから、すぐに真剣な表情になった。


坊主頭でガタイがよくて、イカツイおっさんがぐいっと椅子を引いて距離を縮めてきたら、

反射的に少し後ろに下がるのも無理はないと思う。



じーっと私を見たあとで、やっと口を開いた。


「お前、俺に絶対に嘘つくなよ?」

突然なんなんだ。

意味不明でポカンとしてしまう。


「え?な、なに?なんの話なの?怖いんですけど…」


「いいから言え。山口先生には絶対に嘘は言いません!はい!」


「は?はいって言われても…」


「ごちゃごちゃ言うなもう。早く復唱!はい!」


「や…山口先生には嘘は言いません…?」


気迫に押されて復唱したら、なんで疑問系なんだと怒られた。



「まあいいわ。そんじゃ、質問には正直に答えろ。いいな!」


勝手に進む話についていけないまま、とりあえず頷いた。
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