AM1:30
隣の席の柊クン
あんなことがあって気まずかったものの、翌日の先生はいつもと何ら変わりなかった。



いつもと同じで髪は「スペシャル」に盛られていたし、うざ苦しいのも普段と変わらない。



だから私も忘れることにした。





結局5日間きっちり雑用を手伝わされて、ついでに保健室の大掃除までさせられた。



ただ一つ変わったこと。

それは私を名前で呼ぶようになったこと。それだけ。


「今日でよみとのマンツーマン授業も終わりか。寂しいか?」

「授業って…雑用しただけじゃん…」

「そんなに寂しいか。俺も寂しいぞ!」

大袈裟に眉を下げても可愛くない。



「んじゃ、帰ります。先生さようならー。」


鞄を持って扉を開けた時、先生が耳元で囁いた。

「授業サボりたくなったらまたこいよ。忘れんな。俺はお前を守ってやる。」





帰り道、1人で電車に揺られながら
言葉にできない安心感が私を包んでいた。
< 20 / 150 >

この作品をシェア

pagetop