AM1:30
夏休み明けの初日は、渚さんの提案で溜まり場に高校生たちが大勢集まっていた。


全員同じ特攻服を着ている。


私たちはそれぞれバイクの後ろに乗って、派手に登校するということになっている。


といっても同じ学校のメンバーは私と渚さんと、もう一人男子の先輩がいるだけなのだけれど。


始業式の校長の長い話を途中でぶち切ってやるのが目的だと渚さんは笑った。



「よみちゃんは俺の後ろ。」


どのバイクに乗ればいいのか迷っていると、太陽さんに名前を呼ばれた。


「渚はよみちゃんのクラスのこと知ってんよ。だから今日はそいつらに戒めってとこだ。これ以上よみちゃんに手出したら殺すっつー警告な。あ、これ言うなって言われてたから渚には絶対内緒な。」


ニヒヒと笑った太陽さんに、私は頷いた。



「うしお前ら!今日は渚の学校の始業式だ。盛大に祝うぞ!」


太陽さんの一声で、全員が気合いを入れたようだ。


ブンブンとエンジンを吹かして、数十台のバイクが一斉に走り出した。




騒音を立てながら風を切って走るのは、なんとも気持ちいい。



太陽さんと私の乗ったバイクを先頭に、一斉に校庭に入った。



何事かと体育館から生徒たちが覗いているのが見える。



すぐに先生たちが慌てて飛び出して来た。


太陽さんは私を校庭に降ろすと、拳を突き出してきた。

それに拳で応えると、すぐに再び走り出す。



校庭に出てきた先生たちを囲むように暫く走り回って、それから列を成して出て行った。




「これで校長の話は終わりだな。全校生徒が喜んでるぞ。いいことしたなぁ?よみ。」


ハハハと嬉しそうに笑う渚さんにつられて私も笑った。



何かを怒鳴って走り回っている先生たちを見ながら、愉快で仕方なかった。




走って来たもう1人のメンバー、勇太さんと3人で、気が済むまで笑った。



こんなに楽しいと思ったのは、多分初めてだ。




< 70 / 150 >

この作品をシェア

pagetop