AM1:30
授業は退屈で眠くなる。


1番後ろの窓際の席は、眠気を誘う絶好のポジションだと思う。


うとうとしていたら、脇腹をつつかれた。


「…っ?なに?」

「お前今寝ようとしてただろ。」

ニヤニヤ顔で私を眺めるコイツは、どうしようもなく鬱陶しい。


2年になって最初の席がコイツと隣だった。柊(ヒイラギ)なんてかわった苗字をしてるおかげで藤沢の私は否応なく出席番号順でコイツと前後になる。



最初っからコイツは馴れ馴れしく、遠慮というものを知らなかった。


私の筆箱を覗きこみ、キティのシャーペンを見て悪趣味やなと言われた初日から、1ヶ月後の席替えを待ち望んでいた。


5月。くじ引きが行われ、やっと離れられると思いきや。

なんの嫌がらせか、再び隣の席になった。



そしてついこの前の2回目の席替え。

不正がないよう、男女別々に教室を出てくじを引く。

今回は絶対ないと思ったのに。



……………。







「なぁ、ちょっと教科書見せてや。」

このどっかの方言も馴れ馴れしい。

「…自分のあるんでしょ」

「今隣のクラスの奴に貸しとんやって。ええやろ?ちょっと見るだけやん?」


返事をする前に勝手に教科書を引っ張ると、二つの机の中央に置いた。


何が悲しくてこんな奴と一つの教科書を仲良く読まなきゃいけないのか。



早く来月の席替えの日がくることを強く願った。
< 9 / 150 >

この作品をシェア

pagetop