Schneehase~雪うさぎ 身代わり王子にご用心番外編
プロローグ




たった3つの子どもの心に刻まれた、白い色のなかの鮮やかな赤い実。

それが、あなたを忘れさせないのだとあなたは気づくだろうか――。






「うわ~雪、だぁ」


ガラス越しの景色を見つめながら浮き立った声を出すのは――この世で最も愛しいひと。


彼女はもうさっきからずっと、ふわふわと降る雪を飽きずに眺めている。


その身体を覆うのはカシミアのセーターにファーのコート。決して肌は露出しない厚い生地のパンツとスカートを重ね着している。足元は長い毛の絨毯の上に更にラグを敷き、靴下とファーのスリッパを履かせている。


石造りの建築物である室内には大きな暖炉があり、今の時期は常に薪がくべられて暖を取れるようにはなっている。


それでも、二重窓になっている窓ガラスに近づけば。やはり多少はひんやりとしていて。私は彼女の手をそっと包み込んだ。


「ほら、こんなに手が冷えてしまった。こちらで暖まるといい」


侍女に目配せすれば、心得たように直ぐ様お茶の用意がなされる。


ソファに大量のクッションを置いてそこに座らせ、ハーフケットを彼女の膝に掛ける。侍女が淹れたハーブティーにマシュマロを入れると、彼女は苦笑いを浮かべた。


「カイがそんなに過保護だなんて、3年前は思いもしなかったな」

「そうか?」


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