Schneehase~雪うさぎ
身代わり王子にご用心番外編
その少女に気がつけば、外の様子がとても気になる。
(なにをしているんだろう?)
よくよく見れば、雪の中でたくさんの子ども達が雪を手に遊んでいるようだった。
雪を両手で丸めたものを投げ合ったり、大きな雪のたまをくっつけて雪の像を作ったり。
ヴァルヌスではそんな遊びをしたことがないから、物珍しさから夢中になってその様子を見ていた。
その間にも奈美はいろいろと話しかけて興味を引こうとしていたが、私は大して関心を持てずすぐに外へ目を向ける。
やがて、自分の中にわき上がってきたのは。
“うらやましい”
という感情だった。
“……僕も遊びたいな”
ぽつり、と出した本音を。奈美は眉を寄せて否定した。
“なにをおっしゃいますの? あんな野蛮な遊びなど、殿下がなさる必要はありませんわ。それより、ほら。このお花をご覧になって。世界的に数株しかない珍しいものですのよ。殿下のために頑張ってお世話しましたの……”
奈美の話など途中からどうでも良くなって、私は再び外へ――あの少女へ目を向ける。
真っ白な雪景色の中で鮮やかな赤い帽子を被った彼女は、どこにいてもすぐ見つけられた。