Schneehase~雪うさぎ
身代わり王子にご用心番外編
きっと、桃花は無意識にだろう。意図しての動きではない。
彼女は覆い被さるオレの問いかけに、全身で答えていた。拒む動作は一切なく、むしろオレを受け入れる努力をする意思を。
そして、そのひたむきな瞳の中には、紛れもない好意以上の感情の発露を見た。吸い込まれそうな濡れた瞳で。
そんな挑発的な目も出来るんだな、きみは。だが、オレ以外の男にそんな目を見せたら許さない。
「全てを、オレに委ねろ……桃花」
そうオレが言えば、彼女は微かに頷く。震えを隠しながらも、必死にオレに応えようとしてくれる。 その健気さに、やられないはずはない。
桃花が身につけていたもの全てを取り去って、彼女が怖がらないようにとゆっくりと時間をかける。時折声をガマンしようとしているのがかわいくて、ついつい意地悪してしまったのは内緒だ。
その可愛い声も、表情も、何もかも今は全てオレのもの。この腕の中でこうしていられるだけで喩えようもなく幸せだが、初めての彼女に最大限の配慮をしなければ。
こういったことは独りよがりの勝手な行為ではなく、パートナーとのより素晴らしい関係を築くためのスキンシップの一つ。ただ自分の性欲をぶつけ、自分だけが満足するだけならば獣と変わらない。
特に男は自分の勝手な想像でつっ走りがちだから、とオレは桃花の微かな反応や表情さえ見逃さないよう細心の注意を払う。
この時間が彼女にもステキな思い出となってくれるように、と願いながら。