Schneehase~雪うさぎ 身代わり王子にご用心番外編





留学で一番楽しかったのが、高校時代だった。若さゆえに、はめを外したことも一度や二度じゃない。人並みの青春を過ごせたのも、桂木や春日先輩をはじめとする映画研究部のメンバーのおかげ。


なら、その人たちが夢を叶えるためのバックアップをしたい。恩返しにもならないが、私に出来ることはやりたい。それだから、アニメを簡単に作れる玩具を密かに開発したりもした。


帰国後は、ヴァルヌス国際映画祭の特別招待枠での上映も考えている。 特別招待では各賞の対象にならないが、国際的な注目を集めるはずだ。


もちろん、一定のレベル以上の作品でなければ出品は勧めないし、審査員の目にかなわないなら、今後一切支援はしない。身びいきだけで映画祭のレベルを落とすことは慎むべきだろう。


その条件をクリアした上でならば、なかなか機会に恵まれない仲間達にチャンスをあげたいだけだ。


桂木も高校ではあれだけ熱心に取り組んでいたが、今は趣味としているものの、本当は未練があると私も知ってる。


葛城家という呪縛から逃れない限り、桂木に本当の意味での安息は訪れないだろう。藤沢がやつを支えてくれればあるいは……と考えてしまうのは、桃花を狙うライバルが減るという思惑もちょっとはある。


だがそれ以上に、愛情に飢えた彼には、本当の意味での愛される幸せを感じてほしいと思えた。

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