Schneehase~雪うさぎ
身代わり王子にご用心番外編
日本を経ったら、1ヶ月の歴訪の後にヴァルヌスへ帰る。
その時にしっかりと自分の意思を伝えるために、桃花との縁は確実なものにしておかねば。
マリアのからは、“桃花から逢いたいと言われたわ”との嬉しいメッセージを貰っている。マリアが仕向けずとも、桃花が逢いたいと思ってくれている事実は、私に勇気をくれる。
何も言わずともに過ごしたあの1週間を、彼女も意味があるものと考えたのだろうか。
本来ならばちゃんと全てを話すべきだった。だが、1週間抱き潰した後でその覚悟を問うのは酷だ。人生を180度変える決断など、そうそう容易くできるものでもない。
桃花も私もまだ若い方だが、失敗したからと言ってやり直せるほど甘い事柄ではないだろう。一般人の結婚や離婚でさえ、周りの人間や本人に与える影響は大きいのだ。王位継承権を有する王子である私と、となればその影響は国単位となる。
まして、今は政敵が国を牛耳っており、完全に影響を排除するには時間がかかる。私たちはもう、互いの想いだけでどうこうできる年ではない。
それでも今必要なことは、私の気持ちを告げた上で、桃花の気持ちをしっかりと確かめる。一番大切なのは、2人の愛情なのだから。