Schneehase~雪うさぎ 身代わり王子にご用心番外編



マリアと私が異性としてどうこうなるなど、天と地がひっくり返ってもあり得ない。


マリアが人間としても、女性としても魅力があるのは解る。だが、私は彼女を性別を越えた友人として彼女を尊敬している。彼女に対して甘やかな感情など、一欠片すら抱いたことはないのだ。



「まあな、マリアとは幼なじみで家族同然だが……姉のようなものだ。あんなしっかりし過ぎた女を妻にしたら、一生尻に敷かれるはめになる」


友人として幼なじみとして言うのもなんだが、一緒にいて常に緊張を強いられる相手はまっぴらだ。自分を高めたいなら良いかもしれないが、私は遠慮申したい。


その点、本物の雅幸は飄々とマリアの緊張感を受けとめ緩和する術を心得ている。あの腹黒には気が強すぎて、聡明過ぎるマリアはぴったりだ。一生嬉々として尻に敷かれ続けるだろう。


それを想像しただけで思わず笑い声が漏れてしまったが、桃花がホッと吐息を吐く。どうやら、私がマリアを好きでないとようやく納得してくれたらしい。

だが、まだ懸念は拭えないのか躊躇いつつも彼女は次の疑問を口にする。


「ま、マリアさんからは……あなたに、す……す、す好きなひとが……いる……と聞きました。あの、……その方と……こ、婚約のご予定とかは……」


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