Schneehase~雪うさぎ
身代わり王子にご用心番外編
「ああ、頑張って捜しまわったおかげで相応の実を得ることが出来た。少なくとも雪うさぎとはまた会えるだろう」
「そうですか、意地悪なきつね達に耐えなされた。それは何よりです」
シュトラウス公爵は笑みを浮かべたまま、ぬけぬけとそんなことを言う。
“意地悪なきつね”の親玉の癖に何をほざく。まさに厚顔無恥という言葉に相応しい面の皮の厚さだが、ここでいちいち反応するのもバカらしい。
こんな程度の挑発で感情的になるほど、私も幼くはないつもりだ。
さしずめ、私が仲間外れの子きつねで桃花を雪うさぎということだろう。自分を意地悪なきつねにたとえるなど、自覚はあるのだなと内心鼻で笑う。
「そうだな。どんなきつねでも屈しないくらいには、だ」
こちらとしては最高の笑顔を張り付け、シュトラウス公爵に向けてやった。
「分不相応というなら、集団で嬉々として一匹の子きつねを排除するきつねもそうだろう。
固まっただけで強くなった気でいるから気が大きくなり、己の身もわきまえず大それたことをしても気付かない。
いずれ、因果応報でその身に相応しい天罰が下るだろう。
子きつねだとていつまでも子どものままではないからな。
雪うさぎと離れたぶん、己の弱さを自覚し強くなれたのだから」