Schneehase~雪うさぎ
身代わり王子にご用心番外編
「うん、だって……3年前に再会したとき。全然知らないふりしてたじゃない」
彼女にそう指摘されてしまえば、こちらも苦笑するしかない。3年前の再会は、彼女の与り知らぬ場所で決められたもの。
――私が日本にいたかった最大の理由が、あなただと知れば。あなたはどう思う?
王位継承者第1位という責任を背負う立場でも、何を犠牲にしてもあなたのそばにいたかったのだ、と。
――きっとそれを話せるのはずいぶんと先になりそうだ、とひとり自嘲的な想いを、お茶とともに飲み込む。
「あの時は、あなたに私だと知られる訳にはいかなかったから」
――そう。
知られるのが、怖かったのかもしれない。
あなたを傷つけた元凶である自分を知られることが。
たった3つの子どもの心に刻まれた、白い色のなかの鮮やかな赤い実。
それが、あなたを忘れさせないのだとあなたは気づくだろうか――。